名場面特集 第3位

戦う理由

概要

最後のRAVEを渡されたハル、しかしRAVEが選んだのは初代RAVEマスターのシバだった。
RAVEはその強大な力ゆえ、奪い合いが起きぬよう使用者が一名に限定されている。
この先の戦い、初代RAVEマスターを超えない限り、ハルにはその資格がない。
シバは薬により全盛期の若さに戻り、ハルに真剣を抜いた。

ハルがシバに振り上げる殺意なき剣は空中で空回りし、跳ね返される。
圧倒的な実力差の理由は、剣の重さ、そのための想いの強さだとシバは語った。
ハルは世界のために戦い続け、その軌跡を疑う者は誰もいない。
しかしシバは50年間、リーシャとの約束を胸に、世界を想い続けていた。
シバはハルに、世界のためなどと軽々しく口にするな、と言い放った。
ハルは、故郷、姉、仲間達、様々思い浮かべては、全てを守れないことを悔しく思い、涙した。

シバにあって、ハルにないもの、それは何か?
そして成長したハルを見届けたシバは・・・・・。



個人的感想



最後のRAVEを懸けた、そして戦い続ける意味を問うた場面です。
人が本気になれること、それを知る唯一の方法は本当の自分と向き合うことです。
書くだけなら簡単だけれど、これは非常に難しい。
見栄、遠慮、修飾、世間体・・・・・本人が思っている自分の考えというものは、実際のそれよりも、大きく周りに影響されている気がします。
それに本気で向き合ったことがあるのは、よほど人生について真剣に考えた(考えざるを得なかった)人だけだと思います。
普通に学校生活送るだけではあり得ないような。

というわけで、そうでない読者にとって若干共感が難しかった場面かもしれません。
この場面を不純な動機、と評した意見を目にしたこともありますし・・・・・・
でもだからこそ、実感した人間には強く心に残る場面でした。

RAVEをめぐる旅は、命を懸けた苛烈なもの。
RAVEが自身を見れていなかったハルを懸念したのも理解できます。
過去の皆がRAVEに託した願いを挫折されるわけにはいかないから。
ハルが、様々なものを守りたいと思ったのは嘘ではないでしょう。
しかし、ただただ単純な想いが、一番強かった。
ハルはそれを自分で認めたとき、道は開けたのです。
その内容は、シバにとってある意味皮肉なものだったけれども。
でも長い人生の最期を、リーシャに会い真実を知るという、
追い求めていた目的に報いられた形で迎えることができたシバは、幸せだったと思います。


名場面特集に戻る

TOPに戻る