今週のRAVE感想
このコンテンツは、マガジンの連載を元に週1回更新し、完結しました。
マガジン31号 |
ハルとルシアの決戦。 斬りつけられたハルが立ち上がるのはいつもの流れ。 ルシアの叫びを聞いたとき、怯んで刺されてしまうのはやっぱりハルだなあ。 まっすぐな心をもっているからこそ、人の本気には心動かされてしまうのだ。 そしてついに星の記憶にたどり着いた最後の一人が明らかになった。 その名は、アルシェラ・レアグローブ、ルシアの先祖。 自分達が作った世界を代々自分達で乱して、無に還すとは無責任な。 ルシアの気持ちももっともだけど、ハルの言葉が本質をついている。 自分の感情を正当化しているだけだ、と。 こう見ていくと、ルシアもよくある少年なんだなあと思う。 非行少年は、自分の境遇を大抵社会や何かが間違っていると考え、反発する。 そういった人間に、絶大なる力が渡るとどうなるか。 自分の頭で考えること、それは生易しいことではない。こういった問題は、特に。 ハルにも、過去には様々な葛藤があったからこそ、でた叫びだろう。 ただ、ハルの行動が考え抜いた成果かどうか、疑問だけど(^^; |
マガジン32号 |
みんなの叫び、ハルの渾身の一撃。 ありがちな展開ではあったけど、表現がすばらしかった。 踏ん張る足、力を込める手、、そしてなによりハルの表情の変化。 昔に比べて絵は少し落ちたような気もしているけど、表現は格段に向上していると思う。 様々な思いの交錯と、そこにこめた本気が、ダイレクトに伝わってきた。 それはどんなセリフより、雄弁に語っていた。 でも、ハルも倒れてしまった。 早く脱出しないと、エーテリオンは撃てないし、残された時間は少ない。 エリーの葛藤は、まだまだ続きそう。 ルシアの「これで終わるんだ、やっと終われるんだ」 この言葉が意味する彼の気持ちとは? 普通に考えれば目標の達成だが、涙を流しながらつぶやく彼の姿は明らかにそれと違う。 私にはルシアはどこかで、自分を止める何らかの力を望んでいたように思える。 この世界を恨む十分な境遇は確かにあり、そして彼は世界を無に還すだけの力を手に入れてしまった。 逆に、それがために彼に耐え難い苦痛を与えてしまったのではないだろうか。 もしそうであるならば、あの涙のつぶやきは、自らの望んだ終着点に着く絶望だったのだ、と思う。 そして無に還ること(人類の滅亡)が、その苦しみから解き放たれる時だったのだろう。 |
マガジン33号 |
生きる意味とはなんだろう? これは一番苦手な問いだ。 死までの時間が生きるということ、定義としてはルシアの言うとおり。 自分の場合は働いて、社会に奉仕して、と模範的な所に逃げてしまう・・・。 でもルシアの、未来を求めて、多くの人の未来を代償とした逃避は壮大すぎた。 ルシアの最後は、どこか満足しているような、安堵のような表情を感じられた。 自分を止めたハル。 これが、彼にとってもうひとつの答えだったのではないだろうか。 ハルにとって世界を救うこととは、すなわちエリーを救うこと。 しかしエリーにとっては、ハルは自分にとっての拠り所。 ハルの「俺はこの世界を救うことをあきらめた訳じゃない」というのはハルの条件は満たしているけどエリーの前提を無視している。 ハルの提案は、2人にとってその受容の可否に格段の差があるのだ。 もしエリーが、ハルがいない世界を無駄と考えるなら、エーテリオンは撃たないだろう。 撃ったらまずハルは死ぬだろうが、脱出の可能性がゼロと決まったわけではない。 しかしハルにとっては、自分が脱出しなければエーテリオンは撃たれないと決まったら、 世界を救うために脱出しなければならなくなる。 まあ、そこはRAVEだから、どんな奇跡が待っているのかもわからないけど(^^; 個人的にはハルの首飾りとプルーが気になります。 |
マガジン34号 |
ハルの必死の叫びも強い押しも、エリーには届かない。 エリーは、先週書いたとおり「ハルのいない世界」を拒絶して、葛藤と戦っていた。 でも心の中では本当は放つべき、というのは十分過ぎるほど分かっていた。 それが叫ぶのをやめて心を通じさせようとしたハルの想いと重なったとき、ハルの幻影を生み出したのだろう。 幻影のハルは、綺麗だった。 でもエリーが抱こうとしたそれは、虚空だった。 それがエリーを現実に引き戻し、悲壮な決心へと導くのだった。 「残された時間が僕らにはあるから、大切にしなきゃと、小さく、笑った」 そんな歌のような大切な時間は、2人にはあったのだろうか。 きっと、残り少ないそれを直視できなかったのだと思う。それを未来への期待でごまかして。 だからその期待が裏切られたとき、やりようのない感情に支配されることになったのだろう。 それを後悔する時間も無いほど、2人には時間が残されていなかった。 ハルの最後は、笑顔でりりしく、泣いていた。 ハルとエリーは結ばれない、様々なところでそう言われてきた。 エンドレスにより2人が引き離されること、これもまた運命だったのだろうか? でもこの2人の最後は、結ばれた者の絆、それ以外の何者でもないだろう。 それは、運命に打ち勝ったというにはあまりに残酷なものであるが・・・・。 エリーの記憶がなくなったのはびっくりしたが、良く考えれば当たり前。 リーシャはRAVEを作るのにエーテリオンを使用し、同じ結果に陥っている。 全力で放出した場合そうなることに、どうして気がつかなかったのだろう。 エリーがそのことを心配している描写もなかったし、まあその余裕もなかったのかもしれないけど。 エリーは、プルーをみて「なに?この虫」と衝撃の発言! よく考えたらエリーは、最初ハルと出会ったとき、プルーは虫だと主張していた。 犬だとするハルに負け仕方なく犬として扱っていたが、記憶の無いさらの本音はやっぱり虫なのね・・・・。 次週はいよいよ、結末です。 最後はプルーにかかっていること、そしてプルーがなんらかの生まれ変わり(化けている)であることを確信しています。 また、リーシャの記憶に関する自説(Q&AのQ6参照)が正しければ、エリーには記憶の片鱗が残っているはずです。 さてさてどうなることでしょう。次週を待つより他はありません。 6年間に渡る壮大な冒険、締めくくりとなるとさびしいものです。 真島先生、お疲れ様でした。 このページをみて頂いている皆様、ありがとうございます。あと1週、お付き合いいただければ幸いです。 |
マガジン35号 最終回 |
エリーの平穏な日常。しかしそれは偽りにも近いものでもあった。 「知らないほうが幸せ」 これは難しい問題。そう思ってそうしていたけれど、それを知ってしまったときの影響は計り知れない。 個人的に、過去にそういったことがあったから。 エリーはハルのこと以外の事実を知っている。 そして、世界はRAVEマスターの活躍を語り継いでいるだろう。 エリーが一度墓参りに行けば、戦友とされる者がそれであることを気づくのはそう遠くない日かもしれない。 この残酷な事実を。 ムジカの言葉は、エリーの気持ちそれ自体より、それを知ったエリーを見る勇気が欠けていることの言い訳に思える。 絆の銀の件が、彼のトラウマになっていることは理解できるが。 残されたものの悲しさ。ジュリアの感じたやりきれなさ。 「俺達はあといくつの悲しみを超えていけばいいんだ?」 あの日のハルの言葉が、最後の悲しみに対する者たちのそれを助長するのだろう。 ジュリアは「この星の恩返し」と表現したが、正確にはこの星の、記憶だろう。 ルシア、エンドレスによりメモリーダストを起こして雲散霧消しようとしていた記憶たち。 その世界全ての「想い」が、それを守るために命を懸けた者をエーテリオンから包み込んだ。 ここに、「想い」という一本の線でつながれたRAVEストーリーが完結したのだ。 ハルを止めようとしたルビーの行為は正当に思える。 エリーに記憶の片鱗が残っている可能性は高かったとはいえ(先週参照)、それを信じる勇気は凄い。 エリーは以前、自分の記憶が無くなったら自分の唯一の拠り所であるハルとの思い出が消えることに恐怖し、涙した。 それに対してハルは、行程を順に一緒にひとつひとつ巡って、思い出して行こうと語った。 ハルの言葉そのままに、頭にフラッシュバックしていく映像。 初めて会ったドッグレース場、パンクストリート、スカ村への道のり・・・(この間の2コマ不明:わかる人メール下さい)・・・ハルの父ゲイルの死亡・・・ 絆を作り上げたその思い出を辿るのに、言葉はいらなかった。 ハルとエリーが交わした熱い口付け。 純愛そのままに。 全てが完結した世界で、ついに約束を果たしたのだった。 RAVEは完結しましたが、私の中ではその精神、感動は忘れられません。 そのうち、物語の総括をしたいと思います。 「今週のRAVE感想」はこれにて完結です。思うが侭の乱文、読んでいただいた方に感謝を申し上げます。 |